研究分野

原子・分子から材料を通して社会貢献へ

AIMRでは、世界中から物質や材料、デバイスに関わるトップクラスの研究者が集結、そこに数学者と理論物理学者・理論化学者で構成される数学連携グループが加わることにより「新しい材料科学」を構築していきます。数学は、様々な物質や材料の背後にある普遍的な原理を抽出し、機能を予見できる新学理を創出する過程で力を発揮します。このようにして見出される新学理をもとに、物質を原子・分子レベルから確実に理解し、制御し、創エネルギー、省エネルギー、環境浄化に資するグリーンマテリアルを創製し、社会に貢献することを目指します。

材料科学の4つの研究グループと数学連携グループ

材料物理グループ

実際に役立つ電子デバイスや機能デバイスを創製するために、有用な基礎物理を追求することが材料物理グループの重要な使命です。そのために新しい材料を探求しその基本的な理解を確立します。無機物質から有機物質にわたる種々の材料に対して、世界最高性能の装置や研究施設を用いて様々な研究アプローチをすることにより、この目的のために研究を進展させます。

非平衡材料グループ

非平衡材料グループは、優れた物理的、化学的、機械的性質を示す先端非平衡材料、例えば、アモルファス、準結晶、ナノ結晶金属合金を研究対象としています。特に、ナノポーラス材料に注目し、実験的、解析的、理論的、計算科学的アプローチを行っています。

ソフトマテリアルグループ

ソフトマテリアルグループは、分子サイズからマイクロメーターサイズにまで渡る大きさを持つ階層構造の物質・材料(ソフトマテリアル)の革新的な創製、同定、及び機能発現を目指しています。

デバイス・システムグループ

デバイス・システムグループはスピントロニクス、多孔質材料、水素貯蔵材料、ナノデバイスおよびバイオデバイスを研究するグループから成ります。それぞれのグループは革新的な材料の創製からデバイス化に至る研究を行っています。例えば、スピントロニクスグループではトンネル磁気抵抗素子のための新しい材料の開発やスピンダイナミクスの解明を、バイオデバイスグループの研究では、自己組織とウェットケミカルプロセスを組み合わせて、生体のもつ機能を模倣した吸着超撥水性材料などの研究を進めています。

数学連携グループ

数学連携グループでは、離散幾何学、非平衡ダイナミクス、トポロジーなど数学的な概念や解析手法を用いて、材料の構造を抽象化して物性を決定する普遍的な法則を導く研究を行っています。また、数学者の他に、若い理論物理学者・理論化学者も所属しており、複数のプロジェクトに参画して数学者と実験材料科学者との間の橋渡しを行い、予見のもとに新機能をもった材料を開発できる、新しい材料科学創成の道筋を作ります。

融合研究の推進

AIMRは融合研究組織として、既存の研究分野にとらわれることのなく研究を進めるための取り組みに特に力を入れています。Fusion Research Proposal、Friday Tea Time、AIMRセミナーの3つの活動は、新たな学理を創成する重要な手法です。